世界のニュース

7月31日 安定しないチュニジア

アルジャジーラより

Bab Suika-Suker Square, Tunis, Tunisia, ca. 1899 チュニジアといえばアラブの春が2011年に始まった場所で、それ以来アラブの春が起こった国では唯一民主主義に移行した国ですよね。 ただ、やはり民主主義と言ってもそう簡単に機能するというわけでもないみたいです。

チュニジアでは1年半ほど前にハビブ・エシド首相というのが選ばれていたそうなんですが、内閣不信任決議により首相を辞任することになったようです。 どうやら、昨年にあったテロ事件や、15パーセントにもなる失業率に加え、汚職問題を改善することができずに支持を失ったみたいですね。

一応この人は憲法が制定されてから初めて選ばれた首相なので、チュニジアの初代首相という言い方もできるようなんですが、アラブの春が始まってから6人目の首相ということで、やはり民主主義がうまくは行っていないことが伺えます。 今後、チュニジアの混乱の仕方によっては、アラブの春が全滅、ということにもなりかねないので、特にアラブの春に積極的に関わってことごとく混乱を招いた西側諸国も注意深く観察しているんじゃないですかね。 まあチュニジアに関しては西側の国が邪魔しなかったからうまくいった、というふうにも言える気もしますが。

7月30日 1メートルずれてるオーストラリア

ルモンドより

Australia with AAT (orthographic projection).svgオーストラリアってあるじゃないですか。 第二次世界大戦中には合衆国が日本に攻め込まれないために必死でオーストラリアの北を守ったわけなんですが、実はあの頃よりも今の方がオーストラリアに攻め込むのは簡単になっているようです。

なぜかというと、実はオーストラリアは年に7センチずつ北に動いているそうなんですね。 戦後70年経ったということで、今の方があの頃よりも5メートルほど日本に近くなっていることになります。

最後にオーストラリアの正確な位置が更新されたのは1994年のことだそうで、現在考えられている場所よりも南に1メートルほどずれているらしいです。 今後、例えば完全自動運転の車が登場した場合などに、この誤差が致命的になる可能性があるため、早急に更新されることが望まれているそうです。

日本でもしすべての車が北に1メートルずれてたらやっぱり東北地方よりも西日本とかの方で事故が多くなったりするんですかね。 まあどっちの方が多いっていうレベルを超えて混乱しそうですが。

7月29日 アルヌスラの寝返り

アルジャジーラより

Flag of the Al-Nusra Front最近ここではめっきり話を書いていなかったんですが、シリアの反政府組織でアルカイダとつながっていることで有名だったアルヌスラっていうのがいたじゃないですか。 ここに来て突然アルカイダとの関係を切ることを発表したようです。

それ以上の発表はなかったようなんですが、最近シリア政府が倒されることが必至になってきたことから、合衆国やロシアとの関係を修復するためにそうしたのではないか、という憶測がされているようです。 まあアルカイダとつながっている場合、現在シリア問題解決の主役となっているロシアとも関係が良くないっていうことになりますからね。 なんにせよ合衆国の側としてはアルカイダとつながっていようがつながっていまいが、アルヌスラはテロ組織である、という認識は変えないそうです。

僕の中でアルヌスラっていうのはシリア反政府組織の中で唯一存在することがしっかり確認されている組織で、シリア政府(プラスヒズボラとロシア)、クルド人勢力、イスラム国、アルヌスラ、という4大勢力のうちの一角を成していて、トルコがいることからクルド人勢力を直接的に支援できない合衆国としては大切な存在になり得ると思うんですよ。 場合によってはシリアの足がかりにアルヌスラが選ばれる可能性も出てきたようです。

7月28日 ドイツの家族

ツァイトより

ドイツって日本ほど深刻ではないですが、子供の数が少なく、人口が減っていることで有名なんですよ。 お隣フランスとはかなりのコントラストがあるわけですが、どうやら社会保障の問題がどうとかいうより、実は国民の考え方にも原因があるようです。

最近行われた調査によると、まず自分の子供が理想の子供だ、と答えた母親が全体の6割しかいなく、それにちなんでさらにもし仮に子供を生む前の時に戻れるとしたら、子供を生むかどうかで、なんと母親のうち約2割は子供を産まない、と答えていたそうです。 要するに今いる子供がいることを後悔しているってことですよね。

やはりキャリアとの相関関係はあるようなんですが、それだけでもないようです。 お金がどうこうで解決できる問題ではないってことですね。

まあもはや世間がどうこう言う世の中でもなければ、子供がいないと人生が楽しめない時代でもないですからね。 そういう人が増えているのもわかる気もします。 うちの同居人のスペイン人とイタリア人も子供だけは絶対欲しくない、と言っていて、とくにイタリア人の方に関しては親も子供が欲しくなかったが誤って産んでしまった、ということらしいので、やはりそういう人は多いんですね。 ちなみに二人とも理由は自分の自由がなくなるから、だそうです。 まあこの記事の中でもそういうことを言っている人が多い、という話だったので、やはりそうなんでしょう。

7月27日 ジンバブエ

ニューヨークタイムズより

昨日の記事書いている間あまりに眠すぎてあんまり何にも考えてなかったんですけど、エジプトってよくよく考えてみるとムバラク大統領がアラブの春で倒されてから独裁政権が続いているんですよね。 そういった意味ではフランスが批判されるかどうかは別として、先の読めない行動をとるのは当たり前のような気もします。

さて、先の読めない独裁政権といえば、最近(というかもはやだいぶ経ちますが)アフリカのムガベ大統領が注目されていますよね。 国の通貨が天文学的なインフレにより完全に使い物にならなくなってから、最近自国の通貨を廃止して、ドルやユーロ、それに人民元を導入してましたが、当然経済は常に崩壊の一途をたどっているようです。 そんな中、副大統領は副大統領職をエンジョイしているようです。

このジンバブエの副大統領、ムフォコ氏なんですが、独立戦争を戦った後、ボツワナやロシアに対しとして出向いていて、国内にスーパーのチェーン店を展開しているそうです。 そんな中、副大統領になれたようなんですが、それ以来。200万ドルかかっている副大統領官邸が完成するまでの間、1980年代に旧ユーゴスラビアが建設した超高級ホテルに一泊1000ドルで滞在しているとのこと。 ちなみにこのホテルは基本的には外国からの要人が来た際に使われることになっているそうで、ムフォコ氏の滞在中も、習近平主席がジンバブエにきていた際などには、空けざるをなかったようです。 あまり関係ないんですが、唯一リビアのカダフィ大統領だけはこのホテルを使わなかったらしいんですよ。 この記事によると、カダフィ大統領は外国滞在の際に、自らテントを張っていたそうです。 すごい人だ。

首都の中心部にある公衆トイレはだいぶ前から壊れていて、その修理費は400ドルらしいんですよ。 ホテル1泊のわずか4割だけで改修できるんだからやれ、という国民の不満は大きいようです。 まあこのトイレがどうとかいうよりジンバブエの場合経済をどうにかしろっていう気もしますが・・・。

7月26日 アラブリーグ会合

アルジャジーラより

現在モーリタニアでアラブリーグの会合が開かれているそうです。 リーグと言ってもあまりまとまりのない地域なんですが、ここのところ、イエメンやシリアなどの問題もあり、やはりそれなりに注目を浴びているみたいですね。

まず意外や意外、昨日もちょろっと書いた第二次中東戦争でフランスと組んでイスラエルを攻撃したエジプトなんですが、イスラム国が台頭したことに関して、国外勢力を批判していたそうです。 国外勢力と言っても、誰の目にもロシアのせいでイスラム国が力を増したようには見えないんで、やはり西側の国を暗に批判してたんじゃないですかね。

大国サウジアラビアは現在南北の両面に問題を抱えているんですが、当然シリアに関してはアサド政権崩壊を望んでいて、南側ではシーア派のフーチ族を壊滅させようと頑張っているようなんですが、あまりうまくいっておらず、それぞれを非難する声明を出した程度みたいです。 前国王の元で合衆国を背景に圧倒的な地位を保っていたサウジアラビアとしてはちょっと歯切れが悪い感じですね。

僕全然知らなかったんですが、どうやらパレスチナとイスラエルの仲介をフランスがやっているようで、そこにも期待が高まっているようです。 最近イスラエルももはや国外の批判を無視してパレスチナを制圧して行っているようなので、これにどうにかして歯止めをかけたい、というところみたいですね。

7月25日 恐怖と戦うヨーロッパ

ルモンドより

フランスではニースでチュニジア出身のトラックの運転手がテロを起こし、ドイツではイラン人の両親を持つドイツ人の少年がマクドナルドで銃を発砲するなどの事件が連続的に起こっているわけじゃないですか。 どうやらこれまでのところ、テロを起こすためにヨーロッパに来たというよりは、ヨーロッパにいる間に過激的になってテロを起こす、というパターンが共通しているみたいなんですよ。 歴史的に見ても、例えばフランスなんかは第二次中東戦争やリビア内戦介入などを見ても、問題があれば力で行動に出る、ということが多く、これまでのテロが起こるたびにコントロールと警備を増やしていたんですが、ここに来て少し雰囲気が変わってきているようです。

この記事には「短絡的な考え方とどう戦うか」というタイトルが付いています。 要するに、犯罪者だからきつく取り締まる、ということでは解決できない問題がある、と言うことのようです。

確かにフランス全土として、これまで警察の数などを単純に増やしつつも、社会全体として何も変わっていないことに苛立ち始めている、という感じが最近はあるみたいです。 ただ、やはり単純に解決できない問題という認識は、逆に言うと、解決できないかもしれない、ということでもあり、それに対する焦燥もあるようです。

お隣、ドイツではツァイトが「とにかくパニックになるのはやめよう」という記事を載せ、割と右寄りのシュピーゲルでさえ「恐怖と戦うために」という記事を書いていて、割と全体として、いかに冷静に判断するかを考えているみたいです。 確かに大晦日にケルンなどの大都市で性的暴力があった際にも、ドイツではまず冷静に対処する、という雰囲気がありました。 今度の事件も、一度深く考えるきっかけにはなっても、パニックに陥ったり、他のイスラム教徒を攻撃したりするきっかけにはならなさそうです。

どうやら、ドイツもフランスも、この一連の出来事が、社会の意識の転換点になりそうです。

7月24日 ドイツの新キリスト教徒

ツァイトより

StJohnsAshfield StainedGlass GoodShepherd Portrait ドイツのキリスト教の話は最近書いたばっかりなんですが、最近ドイツにはイスラム教の国からたくさん移民が来ているわけじゃないですか。 その中にキリスト教に改宗することを望む人が結構いるみたいです。

ただ、イスラム教は「アラーは偉大なり」みたいなことを信者二人の前で言えば改宗できるんですが、キリスト教信者にはそう簡単にはなれないらしいんですよ。 キリスト教の死後や、キリストの復活などなど色々わかってなきゃいけないそうです。 こういう話をするのも簡単ではないらしく、例えば死後の話の時には自分の生まれた場所での出来事や、ドイツまで逃げてくる際に遭った恐怖などと重なったりすることもあるんだそうです。

さらに問題になってくるのが、キリスト教に改宗した場合、例えばイラクやイランやアフガニスタンに強制送還される恐れがなくなるらしいんですよ。 なぜかというと、これらの国ではイスラム教から他の宗教に改宗した場合死刑になるため、死刑にだけはさせないヨーロッパとしては送り返せなくなるからなんですね。 ということで、キリスト教に改宗するのが送り返されないことが目的なのか、本当にキリスト教信者になりたいからなのか、判断が難しくなってきているようです。

確かに僕がイランにいた時もキリスト教に憧れる人が何人かいました。 僕としてはイスラム教とキリスト教がどういった点で違うのかよくわかりませんが、やはり(最近は)平和なキリスト教、という印象があるからなのかもしれません。

7月23日 クリスパー

ネイチャーより

遺伝子組み換えの作物の話はかなり前から出てきていて、国によっては既に商品化されているわけじゃないですか。 これまで倫理的な問題や、問題が起こった場合の影響が計り知れない、ということから人間には応用されていなかったんですが、この度中国成都の病院でクリスパーと呼ばれる技術が使われることが決まったようです。

対象となっているのは肺癌にかかっている患者で、その他の治療法では治らないことがはっきりしていることからクリスパーを応用することが決まったそうです。

このクリスパーと呼ばれる方法なんですが、ここのサイトのポッドキャストで最近取り扱ってて、例えば遺伝子組み換えによって金髪に変えたり、青い目に変えたりすることが可能らしいんですよ。 そのため、世界的に反対運動も起こっているんですが、やはり今回の肺癌のケースなどの場合、人の命が失われることがはっきりしているのに、治療しないことこそ間違っているとも言えるため、どこまで使うのか判断が難しくなってきそうです。

ただ、果たして倫理的な問題から使用することにしたのか、単純に名前を上げるためだけに使うことにしたのか、疑問なところではありますが。

7月22日 ロシアとアサド

ガゼタより

Bashar al-Assad cropped ロシアがシリア内戦に加わってからだいぶ経つんですが、最近はシリア政府が少しずつ勝ちつつあるみたいですよね。 特に、反政府派が大勢を占めていた(?)アレッポをシリア政府が取り戻すまであと一歩というところまで来ていると報道されています。

さて、これで内戦が終わり、アサド政権がそのまま元に戻るかと思いきや、ここに来てロシアの態度が微妙に変わってきているようです。

基本的にロシアはアサド政権側で西側の国は反政府派についていたわけじゃないですか。 ところが、ロシアのラブロフ外相は、アサド政権がこのまま続くかどうかには特にこだわらない、という発言をしているそうです。 これが、合衆国側が要求している、アサド大統領を選挙に立候補させない、ということに賛同する発言かどうかというはよくわからないんですが、なんにせよ、次の大統領が選挙で決められること以上の要求をする、ということはないみたいですね。

ただ、今アサド政権を無理やり終わらせる、ということには賛成しないそうです。 これは、例えばリビアみたいに権力不在の状況から、結局再び内戦につながるようなことがあってはならない、ということからきている懸念で、ある意味当然のようにも見えます。

ちなみに、噂のリビアですが、アラブの春の前のガダフィ大佐はフランスの介入によって一気に潰されて、それ以来混沌としているわけじゃないですか。 どうやらリビアではフランスはあまりよく思われていないようです(アルジャジーラ参照)。

実際人類の歴史上、フランス革命やイラン革命などの代表的なものを含め、革命が思った通りに進んだ、ということはほとんどないわけじゃないですか。 そういったことから、シリアに関しても、いかに慎重にやっていくか、ということが重要になってきそうです。

それにしても、最初から最後まで、ロシアがありとあらゆる問題を解決しているように見えるんですが、どうなんでしょうか。

7月21日 ツイッターと現実

ルモンドより

Twitter Logo Mini僕まだツイッターって使ったことないんですが、フェイスブックと並んでソーシャルメディアの老舗といった存在ですよね (とは言いつつもここのサイトによるとユーザー数は3億人ちょっとぐらいらしいんでフェイスブックにはだいぶ及びませんが)。

ユーザー数がどうであれ、最近のトレンドがツイッターで使われたハッシュタグを通して語られることが多いんですが、それが現実を反映している、とは言い難いようです。

最近フランスの地中海沿いの町、ニースでチュニジア出身の男性によるトラックでのテロ行為があったじゃないですか。 その後、ツイッター上では「イスラム教をヨーロッパの外へ」というハッシュタグがトップになった、という話題があったんですが、実際には、極右のグループがそういう書き込みを始めて、その他のグループに伝染することはなかったんだそうです (そんなことまでわかるんだろうか)。 さらに、よくよく調べてみると「イスラム教をヨーロッパの外へとか書き込むバカはどこのどいつだ」的な本来の目的の真逆の書き込みがこのハッシュタグの全体の92パーセントを占めていたそうで(そんなこともわかるのか)、そういうのを除くと実際には大したことはない、ということらしいです。

要するに、ツイッター上であるハッシュタグに反対するよりも、そもそも書き込まない方がいい、ということかもしれません。

7月20日 ベネズエラの迷走

エルパイスより

ベネズエラの経済が大変なことになっていることはもう何度か書いたんですが、どうやら状況は悪化する一方で、国際通貨基金は、今年のベネズエラの経済成長率を2ポイント下げて、マイナス10パーセントと見積もっているそうです。

来年もマイナス成長が続くようで、現在のところマイナス4・5パーセントと見積もられているんですがあ、今年の経済成長率がなんども見直されて、下がり続けていることを考えると、来年の分もあまり期待はできないかもしれません。

石油の生産国で、もちろん原油の価格が下がっていることによる経済への影響もあるようですが、最も問題なのは、電力のほとんどを頼る水力発電が水不足で機能していないことが原因のようです。 どうやら南アメリカはここ数年冬が来るたびに水不足に見舞われているみたいですね。

アルゼンチンとブラジルもあまり見通しが良くないらしく、それぞれにベネズエラほどではなくとも、マイナス成長が続くみたいです。 なぜか南アメリカの左寄り政権が立て続けにマイナス成長になっているんですが、そういうもんなんですかね。

7月19日 フランスの受刑者数

ルモンドより

よく街角とかで特に意味もなく「物騒な世の中になったねえ」とかいってるおばあちゃんがいますが、フランスの受刑者数は年々伸びているようで、今年は過去最高の7万人弱だったそうです。

日本の場合、6年前の統計ですが、7万4000人程度らしいんですが、日本の人口がフランスの約2倍であることを考えると、かなりの受刑者がいることになりますね。 ちなみにお隣ドイツですが、ここの情報によると、約5万8000人だということなので、やはりフランスの受刑者数の多さが伺えます (ちなみにドイツの人口はフランスより30パーセントほど上です)。

じゃあ社会全体が危険になっているのかというとそういうことはないみたいで、このサイトの情報によると、犯罪率は横ばいになっているようです。 ただ、危険が増えている、と感じている人は増えているようですが。

不思議なことに、女性の数だけで見ると、日本の受刑者数はちょうどフランスの2倍ぐらいなんですよ(フランスは2600人ぐらいで、日本は5200人)。 要するに人口に占める女性受刑者数の数はほぼ一緒、ということになります。

この話を今ちょこちょこっと調べてて思ったんですけど、「日本、囚人数」って入れてグーグルで検索すると、「日本の囚人の97パーセントは外国人」とかいう話が出てくるんですよ。 これとは別に、最近、American History Xっていうネオナチが刑務所に入って、心を入れ替える話の映画を観たんですが、その中で「いったい自分はそんなことをして少しでも幸せになれたんだろうか」っていうシーンが出てくるんですよ。 果たして、この日本の囚人の97パーセントは外国人とか書いている人は、そんなことを書いて少しでも幸せになれているんだろうか、と疑問に思います。

話はちょっと脱線しましたが、ドイツとフランスを比べて面白いのが、最近フランスでもドイツでも幾つかテロがあったわけじゃないですか。 去年象徴的だったのが、フランスではシャルリエブドで、ドイツではジャーマンウィングスの墜落だったわけですが、その後の対応がそれぞれの国で全然違ったんですよ。

フランスでは、駅やショッピングモール、さらには図書館でまで荷物のチェックなどのコントロールが敷かれ、警察の数もだいぶ増えたんですが、ドイツではまず「現代社会において、他人への接し方に問題があるんじゃないか」という話がネットでかなり飛び交って、どうやらあれ以来ドイツではコントロールよりも議論が増えたようです。

またしてもドイツとフランスでテロが起こってしまいましたが、今後、両国がどのように発展していくか、見ものです。

7月18日 モロッコとアフリカ連合

BBCより

モロッコってスペインのすぐ南にある国で、場所によってはスペインから地中海を挟んで見えるらしいんですが、当然ヨーロッパの文化とはあまり関係なくて、ベルベル人の住む北アフリカらしいところなんだそうです。 さて、そんなモロッコは、なぜかアフリカで唯一アフリカ連合に入っていなかったそうなんですが、この度アフリカ連合に入る意思を公式に表明したそうです。

なぜそもそもアフリカ連合に入っていなかったのか、という風に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は1984年までは入っていたらしいんですよ。 ただ、元の宗主国スペインが撤退した後の北西アフリカで、モロッコのすぐ下に西サハラという場所があるんですが、アフリカ連合はそこの独立を認めたため、実質支配しているモロッコは反発してアフリカ連合から抜けたそうです。

なぜ突然戻ることにしたのかはわかりませんが、僕がグーグルマップで確認してみたところ地理的にもあまり利用できそうな地域でもないんで、アフリカ連合に加わることの長所の方が大きいのかもしれません。

それにしてもアフリカ連合もよくあれだけ政治方針や文化の違う場所でひとまとまりになってやっていけてるのか不思議なもんです。

7月17日 スペインへの制裁?

エルパイスより

去年の末にスペインで総選挙が行われ、連立政権が組めないことから、それ以来政権不在が続き、先月再選挙が行われたわけですが、それでも連立政権が組めていないってことは一週間ほど前に書いたじゃないですか。 ちなみに、あれから数日経った結果、政権不在の期間がオランダを超え、カンボジアやイラクなどの特殊な国を除くと、あとはベルギーの541日政権不在を狙うだけ、というところまできました(と言ってもその場合あと一年近く政権不在が続かないといけないわけですが)。

記録更新はいいんですけど、欧州議会の方ではスペインの緊縮問題が進展しないことの方がよっぽど問題で、近々、スペインに対する制裁を科すかどうか審議に入ったようです。

右の図(出典:トレーディング・エコノミクス)を見ていただければわかるんですが、スペインは経済危機が来てからEUが規定している年3パーセントまでの赤字リミットをずっとオーバーしているんですね。 ブリュッセルは、この赤字リミットオーバーは、スペイン政府が意図的にやった、と結論付けたようです。

制裁が決まった場合、スペインの11億ユーロ分の資産が凍結され、さらにその後、EUの指導で100億ユーロ分の節約が強制的に課されるようです。 100億ユーロだと大体スペインの歳入の3パーセントほどにあたります。

27日に発表されるようなので、それまではなんとも言えないようですが、イギリスのEU離脱、ポピュリズム、テロなどEUもスペインもものすごい波乱の中にいますが、これで今後もっと激しくなるかもしれません。

7月16日 アンゴラの危機

ルモンドより

Location Angola AU Africa アンゴラって聞いてあまりピンとこない人も多いかもしれませんが、実はアフリカの中ではナイジェリアに次いで二番目に石油が出るため、2002年に内戦が終わった後は経済的に栄え、首都、ルアンダは度々世界で最も高い街として知られ、アフリカのドバイとまで呼ばれていました。 ただ、他の産油国と同様、最近の原油価格の低下から、アンゴラの経済はかなりのダメージを受けているようです。

2007年にはなんと20パーセントもの経済成長をしたそうなんですが、2016年は2パーセントにも満たないだろう、と言われているみたいです。 でも20パーセントって日本の高度経済成長期ですらせいぜい10パーセントちょっとぐらいですからね、ものすごい変化を遂げていたことになります。

特に問題なのが30パーセントを超えるインフレで、卵が6つで360円、居酒屋で注文するビールが一杯1260円など、とてつもない額で、しかもアンゴラの一人当たりのGDPは日本の8分の1なので、これのさらに8倍の値段、ということになります。 そんなことで生きていけるのだろうか。

なんにせよ、やはり石油に頼っていた国は例外なく原油価格の低下に苦しんでいるようです。 要するに自ら生産しないものに頼ってはいけない、という教訓かもしれません。

7月15日 ドイツの宗教

ツァイトより

Starbuck Community Church 日本ってもともと欧米的な概念からするとほぼ無宗教な国で、前も今もそれほど変わらないわけじゃないですか。 ヨーロッパやイスラム圏では宗教によって人の存在価値が決まったり、物事の良し悪しが判断されたり、戦争が起きたり、人が平気で迫害されたりしてきましたが、やはりドイツのキリスト教は現代社会で少しずつ姿を消していっているようです。

2015年のドイツのキリスト教徒の数は約4600万人で、前の年から約50万人ほど減ったんだそうです。 減り方に関してはプロテスタントがカトリックの倍ぐらいのスピードで減ってるみたいですね。 でも今のところ、絶対数は半々ぐらいみたいです。

ただ、減るスピードは、近年の減り方と比べると少し下がったらしいです。 どうやらこれは、ドイツには宗教税なるものがあるんですが、これが去年自動引き落としに変わったらしくて、それを新たに創設された税金だと思った人が、その前に慌てて無宗教に変えたことから、一時的にキリスト教信者の減り方が大きくなっただけで、今年の減り方は普通なのではないか、という見方もあるみたいです。

僕のドイツの高校には宗教の授業もありましたが、最近は宗教の存在そのものがテロの影響などで厭わしがられてるみたいで、宗教というだけでヨーロッパでは拒否反応を示す人がたくさんいます。 そもそも一応公式的にはキリスト教でも教会に全く行かない、という人も多いですからね。 このまま静かに消えていってしまうのかと思うと、ちょっと残念な気もします。

7月14日 進まないイラン問題

ガゼタより

Iranair.b747.arp.750pix イランに対する経済制裁を解除する国際社会の合意が取り決められてから今日で一年になるそうです。 その後、イランのロハニ大統領とヨーロッパ諸国の首脳の会談などが立て続けに行われたわけですが、イラン国内では経済制裁解除が完全に行われていないことに不満が高まってきているようです。

経済制裁の元で合衆国はイランが保有する500億ドル分の資産を凍結していたそうなんですが、この凍結を解除することが合意には盛り込まれていたらしいんですよ。 一年経った今も、この資産のうちの多くが凍結されたままになっているそうです。 また、イランでは旅客機の老朽化が激しく、待ちに待ったボーイングからの新しい機体の納入も発表されていたんですが、合衆国政府の介入により、この話にはストップがかかったそうです。 ちなみに、僕はボーイングとイランエアーの取引の話は知っていたんですが、これにストップがかかっていたことは知らなくて、先ほどグーグルで調べてみたんですが、なぜかウォールストリートジャーナル以外メジャーな新聞にはこの話が書かれていないみたいです。

さらに、ドイツでも民間の会社がカーボンファイバーをイランに売ろうとした際に、ウラン濃縮のための技術に使われる可能性がある、ということで政府からストップがかかっていたそうなんですね。 ただ、IAEAの調査で、核開発施設の原子炉はセメントで固められているそうなので、ドイツ政府のストップにはあまり裏付けがないみたいです。

イラン国内では、国民の70パーセントが制裁解除が進まないことに不満を持っていて、保守勢力が強くなっているようです。 まあロハニ大統領自体おそらく宗教的リーダーのハメネイ師のお気に入りではないですからね。 ハメネイ師としては保守勢力に変わってほしいところかもしれません。

僕として不思議なのは、西側勢力はイランが核を持つことを恐れているわけじゃないですか。 でも当然核兵器を持っていたとしても、西側の国に落とすことはできないですよね。 周辺国のアラブ諸国はイランの敵なわけですが、アラブ諸国には核兵器はないため、イランに核兵器が必要、ということもなさそうです。 最後にイスラエルですが、そもそもイスラエルの敵もイランの敵もアラブ諸国なわけじゃないですか。 中東戦争の際にもイランとイスラエルが衝突したことはなくて、お互いのことを非難していますが、それ以上の行動に出ることもないんですよ。 そんな中、イランは別に核兵器なんて持つ必要ないじゃないですか。 西側がなぜそれほどイランの核を恐れるのか、はっきり説明してもらいたいもんです。

7月13日 ドイツの次の産業

ネイチャーより

Alternative Energies ドイツはこれまで再生可能エネルギーにかなりの額を費やしたわけじゃないですか。 シーメンスの情報によると2030年までにドイツは約14億ユーロほど再生可能エネルギーへの乗り換えに使うんだそうです。 ただ、これまでで既に再生可能エネルギーで得た分は支払った分よりも多かったそうですが。

再生可能エネルギーはこれまでドイツでの大きな産業だったわけですが、この再生可能エネルギーを効果的に使うために他の産業が大きく伸びていくようです。

再生可能エネルギーの最大の弱点として、発電量が一定ではない、という点があげられるわけじゃないですか。 例えば風が多く吹く日や晴天の日には風力エネルギーや太陽光エネルギーで相当量発電できるわけですが、必要以上に生産した分は無駄になってしまうわけで、この分をどのように使うか、というのが今後の産業になるようです。

具体的にはいかに天候やどこでどのくらい電力が必要か、ということから自動的に計算して必要に応じて分配する技術が必要になってくるみたいなんですね。 実際、様々な要素が加わってくるため、このような計算は非常に難しくなってくるようです。

日本ではもはや政府の援助もないせいか、新たな産業がスタートするっていうことはないじゃないですか。 ドイツで新たなことに次々挑戦するようです。 ドイツの未来は明るいですね。

7月12日 テロを恐れるヨーロッパ人

ツァイトより

関東大震災の際には韓国人が井戸に毒を入れている、という話が広まって多くの韓国人が殺されたわけじゃないですか。 ヨーロッパ人の多くは難民の中にテロリストが紛れ込んでいて、ヨーロッパの安全を脅かすことを恐れているらしいです。

だいたいこういう調査結果が出るたびに驚かされるんですが、意外とドイツがかなりランクの上の方に入っているんですよ。 ハンガリー、ポーランドに次いで3番目で、調査対象の61パーセントが難民の中にテロリストが紛れ込んでいることを恐れているらしいです。

逆に最も恐れていないのはスペインで、それに続いてフランスですね。 フランスでは最近立て続けにテロが起こっていたわけですが、それでも意外と揺さぶられていないようです。

また、ハンガリー、ポーランド、ギリシャ、イタリアでは難民たちに職を奪われることを結構恐れているみたいです。 確かにこれらの国はあまり経済力も強くなく、失業率も高いですからね。 逆にドイツでは31パーセントだけで、あまり職に関する恐怖はないみたいです。

7月11日 座りすぎのオランダ人

オランダ放送協会より

パソコンなどの発達によって最近は座って作業することが多いじゃないですか。 僕も趣味レーションを延々と書くだけなので仕事中は基本的に常に座っているんですよ。

オランダで座っている時間に関する調査が行われたらしいんですが、その結果、オランダ人は平均1日9時間座っているそうです。

さらに、12歳から20歳に関しては座っている時間が10時間にもなるらしく、1日の睡眠時間が8時間だとすると、1日わずか6時間しか動いていないらしく、やはりそれでは全然足りないんだそうです。 まあオランダ人がもともとは狩猟民族であったことを考えると、1日6時間しか動かないのはちょっと極端ですね。

スポーツをしていれば座っている時間が相殺されると思う方も多いかも知れませんが、ここのサイトによると、実は座っている間に体の代謝が停止するらしく、その分をスポーツで補うことはできないんだそうです。 要するに代謝が停止する前に時々動かなきゃいけないみたいですね。

もともと僕の部屋には高校受験までイスも机もなかったんですが、最近その生活に戻ってみたんですよ。 具体的にはうちにはキッチンとリビングの間にカウンターがあるんですが、そこにパソコンを置いて立ったまま仕事するようにして見たんですが、そしたら意外と疲れなくて、むしろダラダラしなくてやりやすいんですよね。 どっちみちパソコン一台で仕事も勉強もできる時代なので、パソコンを置くための譜面台みたいなのを開発したら意外と売れるかも知れません。

7月10日 チョコレートと超音波

ナショナルジオグラフィックより

Chocolate(bgFFF)チョコレートって日常生活でよく見かける存在なんですが、実際どういう風に作られているかって知っていますか? 実は、ここの情報などによると、それぞれの会社がそれぞれの作り方を持っていて、お互いにそれなりに工夫しているらしいんですよ。 具体的には、チョコレートをローストし、その後チョコレートのバターにして溶かしてから、固めるらしいんですが、このローストの作業、溶かすときの温度、さらに固めるときにどのようにクリスタル化するか、っていうのが非常に重要なんだそうです。

それでこの度、完璧なチョコレートを作るために超音波の装置を導入することにしたんだそうです。

超音波の装置って普通は例えば妊婦さんのお腹の中の子供の様子を見たりする際に使うわけじゃないですか。 あれって不純物(赤ちゃんのことをそう呼ぶのはちょっと問題ですが)に超音波が引っ掛かるのを利用しているわけなんですが、要するにチョコレートの中のクリスタル化していない部分、ダマっていうんでしょうかね、がそれで見えるようになるらしいんですよ。

これまではそれぞれの工程でいちいちサンプルを研究室に送らなければいけなかったそうなんですが、これによってその場ですぐにクリスタル化の状態が見れるようになるんだそうです。

完璧なチョコレートができる日もそう遠くないのかもしれません。

7月9日 スペインの政権不在

エルパイスより

スペインで最近歳選挙が行われたことは何度か書いたじゃないですか。 簡単に背景を説明すると、もともとスペインは独裁政権崩壊後、社会党と国民党が交互に政権につく二大政権状態だったわけですが、サパテロ首相率いる社会党政権の際にヨーロッパ経済危機が訪れ、他のヨーロッパの国同様にすぐに政権交代につながったわけなんですが、それでも経済は回復せず、左寄りのポピュリスト政権が二つ生まれたんですね。 そんな中、去年の12月に総選挙が行われたんですが、困ったことに右寄りの国民党が第1党にはなったものの、過半数には届かず、残りの左寄り政党たちも政権発足のための合意には至らず、再選挙になったんですが、国民党が議席を少し伸ばしたものの、結局前と同じような結果になってしまいました。

と、いうわけで政権不在が続いているんですが、なんと今日で202日になるそうです。 これは羽田孜、石橋湛山、宇野宗佑政権の合計在任期間を超えます。

後5日でオランダで1977年に築かれた207日政権不在に届くようなんですが、事情がちょっと特殊だったカンボジアとイラクは除くと、次はトップのベルギーの541日が目標、ということになりそうです。 ベルギーは2007年から2011年の間、ゲルマン系住民とフランス系住民の対立で政権が発足していなかったんですが、実はこの間、むしろ経済はうまくいっていたようなんですね(参照)。 そういうこともあり得るということを考えると、確かにあまり政治能力の高くないスペインみたいな国では意外とどっちみち汚職するだけの政権が出来るよりも、その方がいいのかもしれません。

7月8日 イタリアの出生率

ANSAより

日本の出生率が下がっていることはかなり前から有名なんですが、実はヨーロッパでも国によっては出生率の低下が激しくて、例えばドイツなんかは日本と同じぐらいなんですよ。 と思っていたら実はドイツなんかより南の国の方がさらに危機的状況みたいです。

EU28カ国(イギリスを含む)で、最も出生率が低かったのはイタリアで、去年一年間では1000人あたりに8人しか子供が生まれていないんだそうです。 それにポルトガルやギリシャが続きます。 やはり経済危機の影響が大きいんでしょうか。

逆に、出生率が一番高かったのは、アイルランド。 ヨーロッパでも出生率が高いといえばフランスが有名だと思うんですが、意外にもアイルランドの方が高いんですね。 それにフランス、イギリスが続くようです。 なんだか一地域に固まってますね。

ヨーロッパ全体の人口は2014年には5億830万人だったのが、去年は5億1010万人になったそうなんですが、これは移民が増えたことに起因するようで、もともと住んでいた人だけでは人口は減っているそうです。

ただ、単純に出生率だけを考えるとイタリアが一番人口が増えていないんですが、死亡率なども含めると、ブルガリアやハンガリーの方が危機的な状況のようです。 まあ東ヨーロッパなので経済的にもまだ結構きついんでしょうか。

どういうわけか、今日ツァイトの記事で、なぜ女性が子供を産まないか、という問題を社会的な要素からグループ分けし、それぞれの問題を挙げていたんですが、まず当然金銭的な問題と、保育施設の問題があるじゃないですか。 その点は日本と同じなんですが、それに続いて、じゃあ夫婦の間でどちらかが仕事を妥協しなければならない、というときに仕事を辞めたくない、という人も結構多いようです。 結局、育休を取るとしたら女性が取る場合が多いみたいですからね。 こういうところはスウェーデンなどは優秀で、育休は最大で480日までとれるんですが、一人で取れるのは390日までで、残りはパートナーが取らなければならなくなっているんですよ。

あと、男性の方が保守的な場合、子供を作りたくない、という部分も大きいみたいです。 特にドイツの女性の場合、意識がかなり高いですからね。 保守的な男に伝統的な家庭のルールを押しつけられるのが耐えられない、というのもよくわかります。 しかもなぜか多くの場合男の方が保守的ですからね。

お金や保育施設の問題はどうにかなるかも知れませんが、自由に生きられるかどうかは本人の問題も結構ありますからね、今後ドイツが一気に出生率をあげる、ということはなさそうに見えます。 まあその部分移民で補っているからいいのかも知れないですが。

7月7日 魚の乱獲

ツァイトより

今日はサッカーのヨーロッパチャンピオンリーグの準決勝でフランス対ドイツだったんですが、フランスが勝ったため、うちの外では車のクラクションが連続的に鳴っています。 明日はお祭り騒ぎになりそうです。

日本では中国の漁船が最近台頭していることから有名になっているかも知れませんが、せかいてきには魚の消費量っていうは増えていて、ついに一人当たり年間20キロを超えて、1970年代ぐらいから二倍ぐらいになっているそうです。 でもよくよく考えてみるとここの記事を見ても分かる通り、1970年代から世界の人口自体倍ぐらいになっているんですよね。 ということは魚の絶対的な消費量は四倍ぐらいになっていることになります。

当然生産の方も追いついていなくて、現在長期的に見て順調に数が増えているのは全体の1割程度で、逆に全体の6割ぐらいはかなりの危険にさらされているようです。 ただ、乱獲を相殺するほどの生産にはなっていないものの、養殖された魚の生産もかなり増えているようです。

場所によってもかなりばらつきがあるようで、例えば地中海と黒海(まあよくよく考えてみると同じ海ですが)では魚の乱獲の影響がかなり出ているようなんですが、逆に大西洋の北西ではそれなりに保持できそうなシステムが確立されつつあるんだそうです。 日本近海はどうなんでしょうかね。

7月6日 ブラジル政府のプロパガンダ

UOLより

Unclesamwantyou プロパガンダって聞くと独裁政権の国のような気がするじゃないですか。 まあ最近では日本でも愛国心を教える、とかいうプログラムもあるみたいなんで、プロパガンダまでそれほど離れていないのかもしれませんが、地球の反対側、ブラジルではかなりの額がフェイスブックで政府のプロパガンダに使われているようです。

2015年は年間を通してフェイスブックの広告料が4460万レアル(約13億5600万円)かかったそうです。 ツイッターはその4分の1ぐらいなんですが、それでもかなりの額ですね。

なんにせよ国の景気は大変なことになっているのにいいのだろうか、という気もします。

あまりこれまで気になっていなかったんですが、実はここの記事などを見るとこの前のイギリスの国民投票の際にも、ソーシャルネットワークが使われていたみたいですね。 まあ時代とともにそういうのが変わっていくのも当然といえば当然かもしれませんが。

ちなみに日本も最近Cool Japanという名前でBBCなどに積極的に広告を出しているようです。 なんだか随分つかみどころのないロゴではありますが・・・。

7月5日 地球温暖化防止策

最近東北大学の円山重直教授(ホームページ参照)がうちの研究室にいらっしゃってるんですが、今日1時間ほどお話しさせていただけたので、円山先生がどういう研究をなさっているか、ということの記事にすることにしました。

去年の10月に、ネイチャーの記事でダイヤモンドを上空に飛ばすことによって太陽光を散らし、地球温暖化を止める、という話は載せたじゃないですか。 実は円山先生も同じ分野の研究をなさっているんですが、円山先生の場合は大理石の細かい粒を飛ばすらしく、コスト面ではダイヤモンドよりもかなり現実的らしいんですね。

現時点では正確な計算結果が出ていないそうなんですが、大雑把な計算によると、だいたい1時間に1トンほど大理石を飛ばせば、地球温暖化が抑えられるのではないか、ということだそうです。

さて、具体的な計画内容なんですが、まず何らかの方法で1トンの大理石の粉を上空3万メートルまで飛ばすらしいんですよ。 その後、火山灰なんかと原理は一緒で、太陽光を大理石の粉が遮断してくれて、5年ほどかけて地上に戻ってくるんだそうです。

健康にもおそらく被害がないだろう、と言われていて、それなりに期待できる大理石なんですが、唯一問題になっているのが、いかにして高度3万メートルまで1トンもの石を飛ばすのか、ということなんだそうです。 飛行機の高度っていうのは一般的に1万メートル前後らしいんですが、そう考えると3万メートルぐらいいけそうに思えるじゃないですか。 ただ、やはり3万メートルまで上がると空気の圧力が低すぎて、通常の浮力じゃ飛べないらしいんですね。 円山先生の話によると、冷戦時代合衆国のロッキード社製の偵察機がソ連上空を高度2万メートルで飛んでたらしいんですが、その飛行機はあまりに大きすぎて、あっさり落とされちゃったんだそうです。 そのさらに1万メートル上空ですからね。

さて、おそらく一番最初に思いつくのがロケットだと思うんですが、これの場合消費エネルギーもバカにならないらしく、地球温暖化を止める策としてはあまりにも本末転倒になってしまうそうです。

次に、熱気球なんですが、これの場合ヘリウムを詰めたとしても直径100メートルほどの気球にしなければないらしく、ここの記事にもある通り、地球上では希少価値が高いヘリウムをそれほど大量に使うことはできないそうです。

最終的に最も現実的なのは、リニアモーターカーの技術を使って飛行機を加速させて飛ばす、ということで、これだと、甲府あたりから発車するリニアモーターカーが富士山あたりで打ち上げられるんだそうです。 なんだか最も現実的な策が一番非現実的に聞こえなくもないですが。

とりあえず今の政治的戦略としては、温度を下げる、というよりも二酸化炭素をどれだけ削減するか、というところの重点を置いているようなんですが、円山先生曰く、国民一人当たりのGDPと、一人当たりの二酸化炭素の排出量には相関関係があるらしく、ドイツだけこのパターンを少し下回る二酸化炭素排出量らしいんですが、それでも大幅にずれる、ということはないらしいんですね。 要するに、発展途上国で経済発展が続いた場合、どう足掻いたとしても二酸化炭素の排出量は減らせない、と円山先生は読んでらっしゃるそうです。 そうなった場合、現在は割と夢物語的に語られる大理石を飛ばす話も、現実味を帯びてくるのかもしれません。 ちなみに二酸化炭素の排出量削減に関しては、メタンハイドレートのお話も聞かせていただけたので近々ここに書きます。

7月4日 EU離脱と科学

ネイチャーより

Science-symbol-2 今日、イギリスのEU離脱を先導していたイギリス独立党のナイジェル・ファラージ党首が辞任したことが報道されました。 これで、政権党の保守党でEU離脱を推進していたボリス・ジョンソンが首相指名争いから降りたことを合わせて、EU離脱派の主要人物二人がいなくなったことになります。 自分たちがやったことの責任は取らない、ということなんでしょうか。 なんにせよ、政治の陰で、イギリスの科学は今後イギリスが向かう方向に不安を募らせているようです。

イギリスにはオクスフォード大学やケンブリッジ大学などがあるわけじゃないですか。 学問では有名な場所なんですが、それもやはりEUがあってのものみたいで、最近では多くの外国人がイギリスの科学の発展に関わっているみたいなんですね。 EU内の自由な移動ができなくなると、優秀な科学者がイギリスに来なくなってしまうのではないかと恐れられているようです。

さらに、BBCの記事によると、現在EUから受け取っている額が、研究費の一割ぐらいになるらしいんですね。 当然EU離脱派の人たちは、減った研究費の分はちゃんと補う、と言っているらしいんですが、そうやっていくと、公約にあった「EUに毎週払っている35万ユーロを保険機関につぎ込む」というのからはどんどん遠ざかっていきそうです。 また、このEUの研究費なんですが、研究内容によっては国境を越えての研究になるんで、例えば、うちの研究室がドイツの研究室と、イタリアの研究室と一緒にそれぞれの長所を生かして、研究する、ということもあったりするんですね。 だから、単純にお金の額がいくら、という風な話し合いでは補えない部分がありそうです。

一応イギリスの側では、EUから離脱しても優秀な科学者はいつでも歓迎だ、とは言っているようなんですが、それでのこのこイギリスに行くかどうかは疑問なところです。 でも何より、早く事態を収拾させて、今後の見通しをはっきりさせるのが筋だと思うんですが、一体何をしているんでしょうか・・・。

7月3日 フランスの屠畜場

フランスの屠畜場の話は何ヶ月か前に書いたじゃないですか。 具体的には動物の扱い方の真相を見せたビデオがすごい反応を見せたわけですが、その後、行政の方でも行動に出ざるをえなくなったようで、全国の262カ所にある屠畜場の検査をしてみた結果、31パーセントに問題があり、さらに3カ所の屠畜場は閉鎖に追い込まれたそうです。

僕も最近わりとベジタリアンなんですが、ここの記事などを見ると、フランスでは90年ごろを境に肉の消費量がかなり減ってるみたいなんですね。 ヨーロッパ全土でそうですが、今後、さらにベジタリアンが増えていくのかもしれません。

7月2日 軟化するトルコ

Recep Tayyip Erdogan - World Economic Forum Annual Meeting Davos 2006 ヨーロッパと中東の間に位置し、シリアの紛争や、ガザ問題などで重要な役割を果たしているトルコなんですが、言語的にも、政治的にも、あまりどちらにも属しません。 特にエルドアン大統領が就任してからは、人権問題などでヨーロッパから嫌われ、孤立を深めていたんですが、なぜか一週間ほどぐらい前から態度が軟化してきているみたいです。

まず、6年ほど前にガザ地区で支援活動をしていたトルコ人10人がイスラエルの特殊部隊に殺されたことがあり、その際トルコは謝罪と賠償、それにガザ地区封鎖解除をイスラエル側に求めていたんですが、謝罪と賠償はすぐに行われたものの、封鎖解除に関しては達成されることがありませんでした。 それからイスラエルとトルコの間では緊張状態が続いていたんですが、結局6日ほど前にトルコの方から歩み寄りがあったと報道されています。

また、去年シリアとトルコの国境沿いで、国境侵害したとされるロシア軍機がトルコの対空ミサイルに撃ち落されるという事件があったんですが、エルドアン大統領はロシア軍機が国境侵害したと主張し続けて、ロシア側が要求していた謝罪を全くしなかったんですね。 それがなぜか、何日か前に突然謝罪したことが報道されています。 まあこの問題に関しては、国境侵害があったとされる場所自体トルコの領域がシリアに少し食い込んでいるような場所であって、そんな場所で国境侵害があっても撃ち落とすことはないだろうというような反応を国際社会からもされてたんで、そんなに謝罪することにそれほど問題もなかったんですが。 その後、ロシアの側はすぐに関係改善に向けた話し合いを持ちかけ、イスタンブール国際空港で起こったテロの後、トルコ大使館の前にたくさんの人が花を並べていったと報道されています。 ロシアと来るものを拒まずの国ですからね。

さて、このガゼタの記事によると、トルコはシリア問題に関してテロ組織を潰すことに専念することにし、とりあえず政権が続くかどうかは後回しにすることにしたようです。 この問題に関しては、シリアと国境を接しているトルコとイランが、真逆の勢力を支援し、最終的にイスラム国が漁夫の利を得てしまいましたからね。 結局合衆国の支援していたアラブ人部隊が実は存在しなかったことと、ロシアの援助を受けたアサド政権がイスラム国を弱らせることに成功したことや、トルコ国内でももはやこれ以上テロが起こっては困る、ということから妥協せざるをえなかったのかもしれませんが。

7月1日 フランスの女性技術者

ルモンドより

僕がいなくなった日本で「リケジョ」なる単語が流行り出したようなんですが、最近、日本では女性の技術者は増えているんでしょうか。 大和総研のデータによると、工学部における女性の割合は1割前後(と言っても工学部の学生の数が直接技術者の数と関係しているわけでもないかもしれませんが)。 そもそも大学生全体の割合を見ても女性の方が少ないこと自体驚きとも言えますが。

ここ、フランスでは近年女性技術者の数が一気に増えてきているようです。

去年、フランスで新たに技術者になった女性の数は1万1000人。 なんと全体の30パーセント近くを占めているそうです。 これは、1973年に全体の5パーセント、わずか600人しかおらず、1980年にそれが10パーセント程度でしかなかったことを考えるとすごく伸びたことになります。 逆に言うと、日本は36年前のフランスのレベル、という言い方もできるんですが・・・。

技術者の数自体も増えているようで、去年退職した技術者が8000人から9000人だったのに対し、新たな技術者は3万8000人もいたそうです。 オランド政権になってから技術者養成などには力を入れているみたいですが、ものすごい増え方です。 技術者の総数は、2009年に68万人だったのが、現在では100万人ほどに前増えた、ということなんですが、ここの情報によると、日本では2005年の時点ですでに200万人いたので、(日本の人口はフランスの約2倍なので)割合としてみると、まだ技術大国というほどのレベルではないのかもしれません。 ただ、実は日本では2000年から2005年にかけて技術者の数が40万人ほど減っているようなので、そのトレンドが続いていた場合、フランスに追い越されている可能性もありますが。

お隣、ドイツの女性技術者の割合は22パーセントなんですが、そもそも絶対数が全然違って、ドイツってフランスより3分の1ぐらいしか人が多くないんですが、新卒の女性のエンジニアの数はツァイトの記事によると、約2万5000人。 男女合わせると、10万人を大幅に超えます。 フランスの3万8000人を圧倒していますね。

僕の働いている国立応用科学院でも最近女の子の数が増えてきているようです。 よく日本だと男の方が優秀と言って、ヨーロッパだと女の子の方が優秀とか色々な主張があるようなんですが、僕の印象としては特にどちらの方が優秀とかいうことはなくて、だいたい同じぐらいです。 日本では少子化が進んで女性の社会進出が期待されているわけですからね。 なんとかステレオタイプから脱却して、女性の技術者にも登場してもらいたいものです。